2011年11月12日土曜日

大企業への挑戦が成功の鍵?


MySQLという会社がある。世界で圧倒的シェアを誇るオープンソース・データベースであるMySQLを提供している会社だ。2008年のSun Microsystemsによる買収、その後2010年のOracleによるSun Microsystemsの買収の結果、現在はOracleの子会社となっている。


同社は、1990年代中旬以降のインターネットの興隆を背景に、スカンジナビア出身の3人の共同創業者によって、「ウェブに最適なデータベース・マネジメントシステムを作る」という目的のもと設立された。 データベース・マネジメントシステム(DBMS)ビジネスは、既に、Oracle、マイクロソフト、IBM等の既存の大企業が圧倒的シェアを占めていたため、同社は、基本バージョンをオープンソース・ソフトウェア(OSS)として提供し、高度な機能を含む商業版のみを有償で(しかし、安い価格で)提供することにした。

無償提供の戦略が功を奏し、MySQLはウェブ開発会社/個人の間で瞬く間にシェアを伸ばして言った。大企業向けのDBMSはオラクル、中小企業向けのDBMSはMicrosoftがそれぞれ圧倒的なプレゼンスを誇っていたため、実際のMySQLの利用者は、有償で高度なサービスを購入する必要性のないウェブ開発会社/個人であり、MySQLはOracleMicrosoftと直接競業していたわけではなかった。

しかし、2001年からSun Mycrosystemsによる買収まで同社のCEOを勤めたMårten Mickos氏は、あえてOracleがライバルであり、MySQLはOSSを用いたOracleへの挑戦であるとメッセージを発し続けた。

 

彼はその理由をこう説明してくれた。

「革新的な製品/サービスを提供するStart upが大企業をライバルとして発言することは常にプラスの結果を生むんだよ。もし大企業がそれを無視したら、人々は、大企業がStart upの革新性を恐れていると考える。もし否定・批判すれば、人々は、大企業が本格的にStart upに対して恐怖を抱き始めたと理解するだろう。もし、肯定・評価すれば、人々は、Start upが大企業からお墨付きをもらったと言うだろう。そう、大企業がいずれの行動を取ったとしても、Start upにはプラスに作用するんだ。 

「大きなシェアを有し、ビジネスパートナーにとって大きな交渉力を保持し、大きな利益を確保している大企業 -Oracleのような- の場合、その効果は更に大きくなる。」

彼は笑顔でこう続けた。

「実際のところ、MySQLはOracleとは全く競業していなかったよ。」


もう一つ、彼の発言でとても印象深かったものがある。

「私は、事業運営において、拡張可能(Scalable)ではないことは全て拒んできた。事業を拡大することを念頭に置く場合、ビジネスの拡張可能性(Scalability)が決定的に重要である。いいアイデアが見つかったり、既存・新規顧客が要求するサービス・仕様があったとしても、それが拡張可能でなければ、手を出すべきではない。」


   *    *    *

市場シェアが高く、ビジネスパートナーに大きな交渉力を有し、大きな利益を確保している大企業、と言うと、誰でもいくつか思いつくのではないか?そう、そういった場所に、起業のチャンスはあるのかもしれない。

Mårten Mickos氏は現在、オープンソースのクラウド・インフラソフトウェアを提供するStart upであるEucalyptus SystemsのCEOを勤めている。ユーモアたっぷりで、笑顔で鋭い発言を繰り返していた同氏は、僕がStanford GSB/シリコンバレーに来てから話を聞いたビジネスパーソンの中で、最も印象深かった一人だ。


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