2012年1月18日水曜日

究極の自己資金投資家

以前のエントリーで、「バイサイド vs セルサイド」という話を触れたがバイサイド・Principal Investmentといっても、通常は、投資家(他人)のお金を預かって運用しているのであって、セルサイドと同様、結局他人のために働いていることに変わりはない。真の意味で、Principal Investmentと言えるのは、自己の資金を運用する場合であろう。

先学期のInvestmentの授業で、Jack McDonald教授をして究極の自己資金投資家(Ultimate Principal Investor)と言わしめるゲストスピーカーから話を聞くことができた。彼の名は、Reece Duca。運用する資産は全て自己(チームメンバーの)資金である、Investment Group of Santa Barbara (IGSB)という投資会社の創業者だ。



高校生の時に投資を始めた氏は、高校生時に千ドル強であった資産を、最学卒業時には7千ドルまで増やし、Stanford GSB卒業時には7万5千ドルまで増やした。(当時はカリキュラムが比較的楽だったこともあり)Stanford GSB在学中は、時間の半分を自己の投資先の会社訪問に使っていたとのこと。

驚くべきは、その後の資産の増加率。彼は、Stanford GSB卒業後、自己の資金7万5千ドルでIGSBを創業し、その後、40年以上にわたって、年平均成長率(CAGR)20%以上(!!!)の投資実績を残している(なお、実際計算するとこれがいかにすごいことかわかります。是非計算してみてください)。投資先は、主として上場株式であるが、スタートアップに対するPrivate Equity投資も行っており、投資先の複数のスタートアップの役員も務めている。

彼の講義は、(おそらく教授からの要請に沿って)主として、上場株投資において成功するためのポイントに関するものであった。内容自体は決して真新しいものではなかったものの、大成功を収めている超大物投資家の講義ということもあり、皆、必死にノートを取りながら聴講していた。

ただ、僕は、Duca氏の講演に、何か物足りなさを感じていた。それは、おそらく、Duca氏の話が、投資家としての成功/富の形成や投資に関する技術的な話に偏りすぎていて、氏の人間性や世の中に残したインパクトについて話を聞けなかったからだと思う。彼自身は、投資家 だけではなく事業家の側面も持ち合わせており、プレゼンテーションも上手で人間的にも極めて魅力的な人物であっただけに、例えば、投資先の役員としてどの ような問題に直面しそれを解決してきたかについても話を聞ければよかったのにと思わずにはいられなかった。


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一口に投資と言っても、色々な種類の投資がある。具体的には、投資先の事業・市場を分析し、市場価格がその事業の本源的価値から乖離している場合に証券を買い/売り(ショート)、その後、市場価格が本源的価値に近づいてきたときに売る/カバーする(簡単に言うと、buy low sell high)という、投資先の事業自体には関与しない投資形態もあれば、より積極的に、投資先の事業に関与する投資形態もある。

誤解を恐れず単純化して言うと、全社がHedge Fund/Mutual Fundの仕事、後者がPrivate Equity/Venture Capitalの仕事、ということとなる。僕は、MBA留学前にPrivate Equityの仕事に従事していたため、インターンや学校の授業を通じて異なる投資形態についての理解を深めることを留学の目的の一つとしていたが、Duca氏を含め、Investmentの授業で、様々なタイプの投資家から話を聞くことにより、知識を広めることができたのみならず、自分が将来何をしたいかについても、色々と考えを深めることができた。




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