2012年1月9日月曜日

エネルギー業界のPEファンド

先学期のInvestmentの授業で、エネルギー業界専門の大手PEファンドであるNatural Gas Partners(NGP)のManaging PartnerであるBilly Quinn氏から興味深い話を聞くことができた。



NGPは、過去組成した9つのファンドの平均リターンが30%以上、最低のリターンのファンドでも10%以上のリターンという驚異的な実績を有するPEファンド。現在73億ドルの資産を運用している。投資先の規模は、1000万ドルから5億ドルと多岐にわたっており、投資先の大半(約70%)は石油と天然ガスの上流ビジネスであり、約20%が中流ビジネスとのこと。

Confidentialityの観点から取り扱ったケースの詳細の紹介は省くが、以下の2点が非常に興味深かった。

まず、NGPの驚異的なリターンの理由の一つに、強力なマネジメント・チームの存在が挙げられる点。過去いくつかのエントリーで紹介したように、Private Equity投資の超過リターンの源泉は買収後の事業改善にあるが、そういった投資スタイルを、エネルギー事業という、オペレーションのベスト・プラクティスの浸透が比較的なされていない業界に持ち込んだことが、同社の高いリターンを可能にしていると考えられる。比較的最近の案件でも、投資後7ヶ月以内にEBITDAを2倍にしたものがあるとのことで、この点は、投資ファンド間の競争の激化から、投資後の事業改善の価値が買収価格に反映されてしまう、近年の非エネルギーの(一般の)Private Equity業界とは、置かれた状況が大きく異なるように見受けられた。

次に、投資Exitオプションとして、MLP(Master Limited Partnership)という、不動産におけるREITのような、税務上パス・スルーの性質を有する(=投資Vehicleでは課税がなされず投資家レベルでのみ課税がなされる)上場投資ストラクチャーでのIPOが存在することが、投資リターンの実現/Monetization に大きく貢献したように思われる点。MLP市場は、PE投資の流動性を高めるのみならず、税務上の利点により望ましいValuationをも実現するという点で、NGPに対して大きなメリットを提供したと考えられる。



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日本は天然資源に恵まれておらず、エネルギー資源のほぼ全てを輸入しているため、エネルギー業界専門のPEファンドは(僕の知る限り)存在せず(ただし、商社が海外で展開している資源ビジネスは、類似のビジネスであろう)、したがって、NSGのケースは僕にとっては新鮮かつとても興味深いものであった。

また、上記のエネルギー会社の事業改善に関連して、夏にインターンをしたファンドのDistressed投資担当のManagind Directorが、

「Distressed投資の世界では、伝統的には、債権投資家が倒産手続等を経て会社の持分を取得した場合であっても、事業運営のスキル/能力がなく、基本的には事業をそのままの状況で売却するのが通常であった。しかし、最近は、事業改善/バリューアップをした上で売却するような投資ファンドが出現してきており、そういった投資ファンドが超過収益を享受している。」

と言っていたのを思い出した。一般のPrivate Equityのみならず、エネルギー業界のPE投資、そしてDistressed投資の分野でも、投資後に事業改善をすることの重要性が増しているということを強く認識した。 


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